丸亀ひろや ―わたくしといふ現象は―

2025年8月2日]- 9月28日[日]
10:00-17:30(入館は17:00まで)
毎週:月・火・水曜休館

入館料/一般800円、学生600円(小学生400円)

■ 7月28日[月]- 8月1日[金]は展示替え期間のため休館になります

■ オープニング・パーティー 8月2日[土]14時より
  オープニングに合わせて丸亀ひろや氏によるギャラリー・トークを行います。

■ 会期中8月11日、9月15日・23日は休館になります


―わたくしといふ現象は―

 丸亀ひろや

 私は自然と人工の境界はどう考えればいいか?といったところからの流れで人の視線(ロゴス)として植物(薬物)図譜を取り上げています。
 今回の『TULIPA』『ひまわり』のもとネタの画像は17世紀初頭にニュールンベルグの近くで制作された「ホータス・エステテンシス」という植物図譜から、『ウバユリ』はシーボルトが編纂させた「フローラ・ヤポニカ」からのものでオリジナルは多色刷り銅版画です。植物・薬物誌からは時代や地域、当時の自然の捉えかたなど様々なことがみてとれます。動植物を絵にするにも言葉にするにも一定の様式化が必要です。そんな様式化の後の世界にわれわれは生きているとの考えがあります。 2023年以降、私の作品では植物図譜の誌面をカメラで撮影してそれをもとに描いています。ことばと2次元の画像を階層的に表現しています。
 
 「画中画」という言葉をご存知でしょうか。今回の”植物図譜よりモチーフを得た連作”は「画中画」を意識して描いています。 
 すでにルネサンス以前より、多くの画中画が描かれてきました。絵のなかにほかの絵や絵を描く人が描きこまれてたりする手法で、近代ではピカソの『画家とモデル』、マティスの『赤い室内』などが有名です。フェルメール作の『アトリエ』などは自身と思われる後ろ姿が印象的な「画中画」です。
 ロイ・リヒテンシュタインも私の理解では「画中画」が得意な画家です。すぐれたポップアートは大量消費と自身も含む社会の俯瞰(抽象化とメタ認知)になっています。リヒテンシュタインの作品はすぐれてユーモラスでアイロニカルです。
 「画中画」は、絵の内空間の延長に「絵を描く人、絵を観ている人がいる」現実空間を結び、相互に入れ子の構造を作ります。また画中画はメタ絵画とも呼ばれています。文学や言語表現にもメタ物語、メタファーなどの表現方法があります。
 
 自然と科学を暗示する、私の植物図譜の「画中画」として表現には、「あなたの自然に対する認識や感性はすでに何かの型に嵌まっていませんか?」とのアイロニーが入っているのです。
 また、自身に目を向けると「わたしたちのカラダは」そもそも自然のモノであるはずなのに、どこまでを自然として受け入れればよいのか戸惑いを感じることがあります。そんな時代に生きているように感じます。これが「どういうことなのか」にとても興味がありますし、「自然の不思議」に対する感性を恢復できるか?これも大きな問いになっています。これには「絵というモノゴトの不思議」も同時に並行しているという感覚があります。


HIROYA MARUGAME

” The phenomenon called I “

August 2 (Sat) – September 28 (Sun) 2025
10:00 – 17:30 (Last admission 17:00)
Closed on Mondays, Tuesdays and Wednesdays

Admission:
800 yen for adults
600 yen for students
400 yen for elementary school students