湯川雅紀展 |
||
−活動拠点、ドイツで制作された最新作を中心に− | ||
|
|
|
|
||
湯川雅紀展 絵画を世界へと開かれた窓に喩える見方がいまも有効だとは思えない。だが、写真映像のおかげといおうか、あるいはブラウン管や液晶のおかげで、わたしたちはみずからの視覚が静止した矩形の窓であるかのような錯覚に陥りがちだ。変転とする世界(=画像?)を前にして、わたしだけは、わたしの視覚の矩形のフレームだけは不動であり、この窓をとおして居ながらにして世界を知ることができる、という訳である。いわば視覚の天動説。――湯川雅紀は、20世紀の多くの画家と同様、この近代の迷妄と闘う画家の一人だ。 |
||
かれの画面に浮遊する小さな楕円形ははるか彼方を旋回する巨大な天体の影かも知れないし、大きな楕円形は心の眼だけが感知しうる微細な生命のかたちかも知れない。それらの楕円形は本当は円形で、わたしたちの視角の加減で、長細くなったり、丸くなったりしているのではないか、などと考えはじめたら、いよいよ作者の思う壺だ。そのとき、わたしたちの視覚は滑空し、旋回しはじめる・・・ |
||