松谷武判  ラルフ・ペティ 
パリのエトランジェ


2011年6月24日(金)〜8月21日(日)

A.M.10:00-P.M.6:00(入館はP.M.5:30まで)
毎週:月・火休館
入館料/通常料金 500円

助 成 : 公益財団法人 朝日新聞文化財団
オープニングイベントのご案内 6月26日(日)14:00〜
フランスより来日中の両作家を囲み、アーティスト・トークを開催いたします。

※パフォーマンスも予定しております。


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『七夕点心』ご予約受付中です 7/15(金)〜8/21(日)

第一・第二展示室  

松谷武判 ラルフ・ペティ 「パリのエトランジェ」

 近年、現代美術を取り巻く環境が変化し、特にアートが「短期間で消費されるもの」という傾向が強くなっている。極端な言い方をすれば、アートも他の製品と同じように商業的な合理性に重点が置かれ、極めて短いサイクルの中で評価され、消費され続けているのが実情ではないだろか。
 それに対しヨーロッパの中でも特に歴史に重きを置き敬意を払うフランスでは、文化的なもの特に芸術作品に対する評価は百年以上の長い時間の中で、そのものがどのような価値を持つかで判断される土壌が培われている。
 今展ではそのフランス・パリに根ざすアーティスト2名を紹介する。
 松谷武判、ラルフ・ペティ両氏の母国はそれぞれ日本とアメリカだが、共に作家活動の初期(20代)からパリでの制作と発表を始め現在に至り、フランス特有の長大な時の流れの中で自己と向き合い、表現をくりかえし、熟成させることによって時間の堆積に埋没しないアートの完成を試みている。
 パリにおいて両氏の存在は異邦人であって、長期に渡る作家活動を経てもその感性は、そこで生まれ育った者とはそれぞれ異質なモノがあり、容易には解け合わない。そのことがかえって、両氏の独特な作風を形成している。
 松谷氏は、「具体」の時代に制作し始めた「ボンド」を使用した作品をパリに渡って以来、長い時間を掛けることによって、強固な精神的なコアを持つ自身の代表作に育て上げている。ラルフ氏は柔軟な感性を持って様々な作品を平面、立体を問わず制作しているが、近年精力的に取り組んでいる絵画は多分に東洋的なものを感じさせる。母国の異なる二人の異邦人がパリで東洋思想的な作品を制作していることも興味深く、またフランスという土壌がアーティストにどのような影響を与えているのかを探ることも本展の目的の一つである。そして、パリの大きな時の流れと共に熟成されつつある両氏の作品を通じて、現在の混沌とした文化情勢の中にある日本のアートについて再考する機会にしたいと考える。

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