Attempt
アテンプト4
岡田和枝・傍嶋崇・榎本夏帆・塩原有佳
2012年11月9日(金)〜12月23日(日)
A.M.10:00-P.M.6:00(入館はP.M.5:30まで)
毎週:月・火休館
入館料/通常料金 500円


特別プログラム
高橋アキ ミュージアムコンサート♪ 
12月8日(土)
 ジョン・ケージ生誕100年記念プログラム!!






※ブログをはじめました。美術館からのお知らせや日々の様子をお伝えします。

第一・第二展示室

アテンプト4/Attempt

 
 アテンプト{attempt;試み, 企て}と題した本展は館外からゲストキュレーターを迎え、出品作家の選定や展覧会の構成を依頼しています。
 第4回となる今回は、ご自身も画家として活躍されているO JUN氏が「アテンプト3(2011年)」に続き再度キュレーションを行い、氏が注目する若手アーティスト、岡田和枝、傍嶋崇、榎本夏帆、塩原有佳を選定いたしました。
 絵画、インスタレーション、ガラス作品と扱う素材や表現方法を異にする4名の作品が同一空間に展観されることで、それぞれの感性がより際立った形で見えてくるのではないかと期待します。

“4人のアテンプト” O JUN:画家(本展、キュレーション)

 今年第4回をかぞえる「アテンプト」は、岡田和枝、傍嶋崇、榎本夏帆、塩原有佳の4人に参加をお願いした。

 岡田和枝は平面から立体、インスタレーションまでその表現領域の幅は広い。制作は、素材、痕跡、場を巡りながら様々に試みられてきた。それがここへきてすっと或る姿を見せ始めたように思う。それから幾度か違う場所で素材や方法も違うものを観たのだがその"容姿"はいよいよ明らかになって、見過ごしてついモノ忘れることがなくなった。どこかでどのようにしていても、静かに一斉に号令を発しているからだ。

 傍嶋崇の描く絵は明るくて抜けが良い。そう書くとずいぶん能天気に聞こえるが、実際大きな画面を前にして覚える実感だ。人同士がからむ様子や山々が厚く平塗りで押しつぶされたような筆で描かれている。だが、一見明るく抜けの良いこの画面にもっと近づいて観て欲しい。深い陰影と屈託を暴挙と言えそうな筆が制圧している。印象は、意外に仄瞑い。およそ3メートルも離れると観えてくる"幸福図"はこのように描かれている。      

 榎本夏帆の造るモノは、その形態と居住まいはとても彫刻的なのに、どこかそうであることをためらっている。輪郭を曖昧にして、砕けた散った何かの欠片のように。だから、彼女の"ためらい"はこの世の一角を見るためのレンズを磨き、触るための杖を切りだしているように見えるのだ。その手際は鋭くも鈍くもあり震えがそのまま結晶している。そうだ、もう一つ言わなければ。彼女の扱う素材はガラスなのだ。

 塩原有佳の絵をしばらく眺めていると、見ているモノと見せられているコトが実は違うことに気が付くだろう。絵具と筆触をたどった先に像(意味)が結ばれないからだ。しかし、見ている眼が空転させられるような感覚にいら立ちを覚えながらも、色彩は妙に蠱惑的だし、描きは颯爽として心地よい。この違和感はやがて一つの予感に変る。絵は、いつも私が見たいものを見せてくれるものではなく、私をはぐらかしてふいに目の前に現れる"あなた"なのではないか?と。
 この4人はそれぞれに私たちの死角を突いてくる。私たちの受け身が果たして通用するかどうか、そこが試される。Attemptはそこに懸かっている。
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