丸亀ひろや / 宮嶋葉一
 
- Painting -


2015年
6月10日(水)〜7月26日(日)

A.M.10:00-P.M.6:00(入館はP.M.5:30まで)
毎週:月・火休館

入館料/
一般600円、学生500円(小学生300円)


6月14日(日)14:00〜 オープニング・パーティ







※ブログをはじめました。美術館からのお知らせや日々の様子をお伝えします。


第一・第二展示室

-Painting- 
丸亀ひろや / 宮嶋葉一

 丸亀ひろや、宮嶋葉一の両氏は、期せずして作品を発表し始めた80年代後半から生活の拠点をドイツに移し、その後数年間を過ごしている。ドイツ滞在中から互いに認識はしていたが、本格的な展覧会としては今回が初めての顔合わせになる。

 丸亀氏は、巧みな色使いと共に画面の中にテクニカルな試みを積極的に取り入れることによって絵画に新鮮な表情を与えている。今展の出品作にもハッチングやモアレなどが見られるが、これらは絵画では捉える事が困難な音やスピード、リズム、あるいは音にもならない波動、眼に見えない光、文字にならない言葉、そのような不確かな存在、永続性の希薄な存在を主題の一つの要素として取り込み、現そうとしているのかも知れない。新作の「デュシャンの定規」はさらに新しい試みが組み込まれており、非常に楽しみな1点となっている。
 宮嶋氏の作品からは、何か傍観者の眼差しのようなものが感じ取れる。無自覚に眺めた、音楽室の肖像画、小さな山の頂きにぽっかりと浮かぶ貯水タンク、日常的に繰り返し眼にした光景。それらがモニタに焼き付いた残像の様に、詳細な情報が抜け落ちた単純化された図像として定着し積み重なって行く…。その様なプロセスを感じさせる記号化されたモチーフの現れ方はどことなく傍観者の立ち位置を感じさせる。しかし、実際の作品を目の前にすると画面上では余白のような白と、ずっしりと置かれたモチーフの黒いラインがせめぎ合い、際どい均衡を有し、執拗に重ねられた筆触は描き手の存在を強く印象付ける。

 丸亀、宮嶋両氏に共通しているのはアイデアやイメージを「絵画」として成立させる才幹が確立している点にある。これは、若い頃ヨーロッパで培われたアーティストとしての資質が大きく作用しているように思う。ともに作家として30年以上のキャリアを持ち、一貫して絵画表現を追求する両氏。本展では時流に流されず、築き上げたそれぞれの作品世界を近作を中心に展観する。
※本展開催に際し、両氏に自作について、あるいは日頃思う事などを自由にコメントしていただきました。

丸亀ひろや


作品によせて

1. 画面の中で光やその動きを表現しようとする古典的な方法、「ハッチング」や「モアレ」。目を凝 らして焦点を合わせようとするが、そこにはすでにキャンバスだけが残されて輝きと揺らぎはど
こかへ消え去っている。
2. 文字が像を結ばず言葉と意味は受肉しない。ことばにならない叫びに似た声が発せられる。から だの反応が音速のことばの速さを追いこす破裂音。"SONIC BOOM"

宮嶋葉一

 「聖徳太子二王子像(唐本御影)」(8世紀、宮内庁蔵)....長い間、私はこの絵のことが気になっています。とても好きです。実物を見た時、不思議な開放感を味わいました。縦1.2m近くの大きさで、縦長の画面のほぼ上半分は、ベージュがかった白が塗られているだけです。下半分は、聖徳太子を中心に3人の人物の立像が描かれています。変な構図です。人物の描写も変です。笑ってしまいます。けれども、見ていると、生き生きしていて、強度がある。8世紀頃の中国人の絵師が力を込めて描いたことがわかります。画面全体が、堂々と自信に満ちているようにみえます。背中を押してくれるような絵です。私にとって貴重な絵です。
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