第一展示室
若江漢字"存在論への問い"
−写真、70年代から現在−
手法に捕われず、様々なメディアを用いて作品を制作し幅広い活動を続けている若江漢字。
今展では1970年代から継続して制作されている写真を用いた"Photo Object"による作品を新旧併せて展観いたします。
1960年代後半から70年代初頭にかけて日本では絵画や彫刻と言った従来の美術を解体する
新しい表現方法の1つとして、写真を用いた美術作品を発表する作家が多数現れ、なかでも若江は事物の「視かた」や「見えかた」など人の視覚に関する問題に着目し、様々な作品を制作、高い評価を得ました。その後、他の作家の多くが再び写真表現から離れ一過性に終わる傾向がありましたが、若江は他の表現と並行して現在もモチーフや手法を変化させながら、日常を視点を変えて捉えることにより再規定(認識)する試みを写真作品(Photo
Object )を通して行っています。
また、昨今海外における日本の作家に対する再評価がなされている中で、若江が1972年に制作した写真作品がポンピドゥー・センター国立近代美術館(フランス)に収蔵されるなど、1960年代後半から70年代初頭にかけて様々な作家が手掛けた現代美術としての写真作品に対しても再評価の気運が高まっています。
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